こんにちは。ラーメン一心の中村です。
今回は、富山ブラックラーメンの「特徴」に絞ってご紹介します。
目次
１．スープが黒い理由
２．味の決め手 魚醤
３．こわい麺とは？
４．富山ブラックの基本の具材
１．スープが黒い理由
まずは最大の特徴である【黒いスープ】からです。富山ブラックラーメンの最大の特徴は、初めて見た人は必ず驚くこの黒いスープです。このスープの黒さの正体は濃い醤油を大量に使用しているためです。ではなぜ富山ブラックラーメンのスープに濃い醤油を、しかも大量に使用し、しょっぱいという声が上がるまで使用しているかですが、その理由は富山の歴史と提供された時代が関係しています。
1945年、富山県は戦争の影響で大規模な空襲に合いました。「富山大空襲」と呼ばれる空襲です。その後戦争も終結し、復興に向けて様々な事業が行われていた1955年頃に、食べ盛りの若者のお昼ご飯として、汗をかく肉体労働者のための塩分補給として、醤油を濃くしたスープのラーメンを作ったのが富山ブラックラーメンの始まりになります。
２．味の決め手 魚醤
富山ブラックラーメンはその黒い色から醤油の量によく注目されますが、味の決め手としてかかせないのが特製タレの【魚醤（ぎょしょう）】です。魚醤とは、魚を主原料とする液状調味料のことで、生魚を塩で漬け込んで発酵させて作られます。魚醤は魚が持つうま味が凝縮された液体で、アミノ酸などのうま味成分が豊富に含まれ、ラーメンに加えると濃厚なうま味が生まれます。この魚醤を元に作られる各店舗独自の特製タレと、どんな醤油をどのくらい使うかで味が大きく変化し、一口に「富山ブラックラーメン」といっても様々な違いが生まれます。ぜひ富山県内の色々な店舗で「富山ブラックラーメン」の食べ比べをして頂きたいです。
３．こわい麺とは？
富山ブラックラーメンの特徴を聞かれるとスープばかり取り上げられますが、実は麺にも特徴があります。
突然ですが、「こわい麺」と言われて、皆さんどんな麺を想像しますか？ここでの「こわい」は「恐怖」の意味ではなく、富山弁で「硬い」を意味しています。多くのお店で富山ブラックラーメンの麺は通常のラーメンよりも少し硬めで提供されます。ではなぜ富山ブラックラーメンの麺は硬いのか？その理由も先程の歴史が関係しています。当時の日本では満足におかずを食べられる状況ではなく、ご飯だけを持ち歩いている労働者がほとんどでした。そこでご飯を持ち込む労働者に「おかず」としても食べてもらえるように、よく噛むことができる「硬め」で提供されていたとされています。
４．具材について
富山ブラックラーメンには乗る具材にも特徴があります。代表的な具材は①チャーシュー、②ネギ、③メンマ、④ブラックペッパーです。現在は「富山ブラックラーメン」と一口にいっても様々な派生店舗、オリジナルの富山ブラックラーメンを提供するお店ができたので、ここではもともとはどうだったかについて順番に紹介していきます。
①チャーシュー
まず量ですが、一般的なチャーシューに比べて量が多いです。「あれ、チャーシューメンを頼んだかな？」と錯覚してしまうほど入っています。チャーシューは基本薄目にカットしてあり、手切りです。そのため厚さにはムラがあり、どちらかというとほろっと溶けるというよりは、食感も、肉の味もしっかりしていて、噛むほどに肉の旨味が染み出るイメージです。この大量のチャーシューから出るお肉のうま味がスープに甘味を加えてくれます。
②ネギ
ネギもチャーシューと同様まず量が多いです。切り方も粗切りで、他店と比較して厚みがあります。このネギの切り方も、上述した「おかず」として食べられるラーメンという開発者の想いから来ているのだと思われます。このネギもしっかりとスープに浸すことで、ネギの旨味がスープに溶け出します。
③メンマ
富山ブラックラーメンではメンマも特徴的です。量もですが、このメンマがかなり塩分を持っています。昔はメンマの持つ塩分をスープに溶かして、お好みの塩分濃度に調整していたようですが、現代人にとってはかなり塩辛く感じるはずです。メンマの量や、メンマの食感、味からも富山ブラックラーメンが提供されていた時代の歴史的文化を感じることができると思います。
④ブラックペッパー
富山ブラックラーメンには通常時のスープでさえ、塩辛く感じられる方もいらっしゃいますが、追加で粗挽きのブラックペッパーがかかっていることがほとんどです。また富山ブラックラーメンを好んで食べられる方の中には、このブラックペッパーを大量に追加される方もいらっしゃいます。この粗挽きブラックペッパーと濃い醤油スープの香りが、鼻を抜ける感覚は富山ブラックならではだと思います。
今回記載させて頂いたことが、富山で昔から愛されてきた富山ブラックラーメンの「特徴」です。当店が提供するコク旨醤油ラーメンは富山ブラックラーメンのブラックスープと、私が感銘を受けた全国の3店舗を融合させたもので、塩辛くなく、スープも飲み干すことができまったく違った味わいを楽しむことができます。ぜひ富山に来られた際は、富山ブラックラーメンと共に当店にもお立ち寄りくださいませ。
ラーメン一心 中村剛志